選ぶ前に知っておきたい!ダイヤモンドとはどんなもの?

婚約指輪や結婚指輪にダイヤモンドはつきものです。「永遠の愛を誓うのにふさわしい宝石」とされているダイヤモンドとは、一体どんなところに由来しているのでしょうか。
ここではダイヤモンドの起源や歴史、特性など、ダイヤモンドについて紹介していきます。ダイヤモンドの価値を考える参考にしてください。
ダイヤモンドをつくるもの
ダイヤモンドは単一の元素で構成された、非常に珍しい宝石です。他の宝石のほとんどは、全て2つ以上の元素で構成されています。サファイアやルビーはアルミニウムや酸素、エメラルドなどは4種類の元素で構成されています。
ダイヤモンドの元素記号は「C」、つまり純粋な炭素でできているのです。鉛筆の芯などに使われる柔らかいグラファイトと同じ炭素で構成されながら、ダイヤモンドが高い硬度を誇るのには原子の配列や構造に違いがあります。
ダイヤモンドの原子は周りの4つの原子同士が強く結びつく「共有結合」という構造をしています。これは形成された過酷な環境化に由来します。
ダイヤモンドの起源
ダイヤモンドの起源は諸説あり、約10億年前とも、45億年前とも言われています。
火山活動が活発だった地中深く、炭素原子を含むマグマが、超高温・超高圧の中で長い時間をかけて結晶化し誕生しました。やがてマグマの噴出により高速で地表近くに押し上げられ、ダイヤモンド原石の発見へと至ります。
ある一定の環境下で生成され、高速で運ばれたことによりグラファイトへと変化せずに地表へ到達しました。特殊な条件がそろって生まれた奇跡の宝石なのです。
ダイヤモンドの歴史
ダイヤモンドが最初に発見されたのは、紀元前4世紀頃のインドだと言われています。当時は硬いダイヤモンドの原石を加工することができず、価値は現在のように認められていませんでした。
原石のままではあまり輝かないダイヤモンドより、サファイアやルビーなどのカラーストーンの方が宝石としての価値は高かったのです。
その後、1475年にベルギーの職人が「ダイヤモンドでダイヤモンドを磨く」という加工法が見つけ、1919年にはブリリアントカットが発明され、ダイヤモンドは宝石の中でも高い価値を見出されます。
古い歴史を持つダイヤモンドですが、現在のような地位を築いたのはほんの数百年前からなのです。
ダイヤモンドの産出国
ダイヤモンドは発見されてからの長い期間、インドからしか産出されず「インド石」とも呼ばれていました。
しかし、1820年代に当時ポルトガル領であったブラジルでダイヤモンドが発見され、ダイヤモンドラッシュが始まりました。ブラジルはダイヤモンドの産出国としてインドを追い越すと、その後約100年もの間、世界一の地位を保ちます。
1870年頃に南アフリカでも発見されると、現在に至るまでアフリカ諸国は産出量の多くを占めています。さらに、ロシアやボツワナ、カナダなど世界のいくつかの国でも、現在ダイヤモンドは採掘されています。
ダイヤモンドの性質
ダイヤモンドは世界で最高の硬度を誇る鉱物です。鉱物の硬度を10段階で表す「モース硬度」ではもちろん最高の10、サファイアやルビーのモース硬度は9、水晶は7と、他の鉱石でダイヤモンドに疵をつけることはできません。
しかし、衝撃に対する靭性はそれほど高くなく、サファイアやルビーより低い数値です。
屈折率も宝石の中で最も高く、内部反射が起こりやすいため、ブリリアントカットによる輝きを最大限に活かすことができます。熱伝導率が非常に高く、息を吹きかけても白い曇りが長時間残ることはありません。また親油性があり、水をはじくといった性質を持っています。
高い硬度を持つダイヤモンドだからこそ、細かく正確なカットを実現できますが、ハンマーなどで叩くと壊れてしまうという側面も持っています。取り扱いには注意をしましょう。
天然ダイヤモンドの希少性
キンバーライトという岩石に天然のダイヤモンドは含まれていますが、キンバーライトの中にダイヤモンドがある確率は2000分の1と言われています。
さらに宝石として使えるのはその内の10~20%、大粒のダイヤモンドはさらに珍しく、1カラットを超えるものは100万個に1個程しか採れません。
人類の誕生するはるか以前に誕生したダイヤモンドは、特殊な環境下で長い時間をかけて結晶化し、マグマの噴出により奇跡的に地上での採掘が可能になりました。すでに数千年前に火山活動の終わってしまった現在では、天然のダイヤモンドが生成されることはありません。限りのある非常に希少な資源なのです。
合成ダイヤモンド
ダイヤモンドはその高い硬度から、宝石のみでなく工業用としても多く使用されています。宝石用に選ばれるものは採掘された全体の10~20%、その他の色や形、内包物などにより宝石に不向きなものは工業用として使用されます。
そして現在では産業用に開発された人工のダイヤモンドも存在します。「合成ダイヤモンド」と呼ばれているもので、天然ダイヤモンドと同じく炭素だけで構成され、屈折率や熱伝導率など性質も全て同じです。
合成方法は主に2つです。天然ダイヤモンドが生成された地中深くの環境を人工的に再現したHPHT法と、炭素を豊富に含む気体(メタンガスなど)から生成するCVD法です。
これら合成ダイヤモンドを製造する技術の進歩により、近年では工業用に限らず宝石用としても流通しています。合成ダイヤモンドの鑑定書を発行している鑑定機関もあるほどです。
ダイヤモンドのタイプ
ダイヤモンドは大きく分けて2つのタイプがあります。不純物として窒素を含む「Ⅰ型」と含まない「Ⅱ型」です。さらに窒素の配置が凝集か孤立かによりそれぞれAとBがあり、4つのタイプにまで分けられます。
天然のダイヤモンドはほとんどが「Ⅰ型」です。合成ダイヤモンド(無色)は全て「Ⅱ型」に分類されます。タイプは紫外線を透過するかどうかにより判別が可能です。
タイプの判定により天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの判別ができます。他にも結晶形の違いなどももありますが、何より違うのは希少性です。長い年月をかけて個性や特徴を形成してきた天然ダイヤモンドと、数日という短い期間で人工的に形成された合成ダイヤモンドとでは、価値が違うのも当然です。
まとめ
ダイヤモンドは奇跡的に誕生し、長い歴史の中で人の手により磨かれ、永遠に失われない輝きを持っている宝石です。
ダイヤモンドの語源はギリシア語の「adamas」(征服できない)であると言われています。世界で最も硬いダイヤモンドは、永遠の愛を誓うのにふさわしいと言われるのも、納得なのではないでしょうか。