ダイヤモンドに鑑定書?どんなことが書いてあるの?【静岡市】
ダイヤモンドを購入した際や、贈られた際に鑑定書が付属していることがあります。この鑑定書はどういったもので、どんな時に貰えるものなのでしょうか。
これからプロポーズを考えている人や、受け取ったけど何を表しているのか分からない、という人には気になるものだと思います。ここではダイヤモンドの鑑定書について紹介していきます。
鑑定書とは
ダイヤモンドの鑑定書とは、GIA(米国宝石学会)により定められた国際的評価基準である「4C」を基に、鑑定機関が発行する文書です。正式にはDIAMOND GRADING REPORT(ダイヤモンドグレーディングレポート)と呼ばれ、他の宝石に付いてくる鑑別書とは異なる、ダイヤモンド独自のものです。
国内外に多数ある鑑定機関により、重量や寸法、色味や透明度、内包物や表面の仕上げ状態などが検査され、本物であることの証明や価格の指標として使用されます。鑑定は、熟練の鑑定人が顕微鏡や測定器などを用いて行います。
品質の評価が記載された鑑定書は、取り扱う側にも、購入する側にも、適正価格や価値を計る役割を果たします。
鑑定書を発行するのは
ダイヤモンドの鑑定書、ダイヤモンドグレーディングレポートは宝石の取扱店ではなく、鑑定機関が発行します。ダイヤモンドの鑑定には専門的な知識や、高度な鑑定技術、専用の測定機器が必要です。国際的評価基準「4C」をはじめ、様々な要素から評価するため、豊富な経験も不可欠です。
鑑定機関も数多くあります。高価で稀少な宝石であるダイヤモンドは、信頼できる鑑定機関のものであることが重要です。国際的に信頼度の高い鑑定機関から、2つを紹介します。
■GIA(米国宝石学会)
GIA(米国宝石学会)は1931年に創設され、「4C」とそのグレーディングシステムを考案・確立した、世界で最も権威のある鑑定機関です。
ダイヤモンドをはじめ、カラーストーンや真珠など、宝石の知識・理解が深く、設定した国際基準により品質と適正価格の保護に努めています。教育機関を世界中に持ち、情報を発信し続ける非営利の研究機関です。
GIAの発行する鑑定書では、カラット(重量)は小数点第2位までの表記です。また、鑑定書は2タイプ、内包物の位置まで図で示した「ダイヤモンドグレーディングレポート」と、コンパクトサイズの「GIAダイヤモンドドシェ」があります。
GIAの鑑定書が付属するダイヤモンドには、ガードル(ダイヤモンド外周の淵)に肉眼では見えないほど小さな刻印が入っています。鑑定書に記載された鑑定番号が刻印されることにより、信頼性はさらに高まります。
■CGL(中央宝石研究所)
CGLは1970年からの歴史がある、国内最大手の鑑定機関の一つです。鑑定書の発行部数は世界でも指折りで、高い信頼性を誇ります。
鑑定書にはダイヤモンドの画像が入っていること、ハート&キューピットの認められるダイヤモンドには付属のレポートが添付されることが特徴です。カラットは小数点第3位まで表示されます。
鑑定業界で最も早くオフィスコンピューターを導入するなど、最新機器や新技術を取り入れることにも積極的です。評価が非常に厳しいことが有名で、信頼性を高める理由となっています。
ベルギーのダイヤモンド総括団体「HRD」と業務提携していた過去や、世界7大宝石ラボラトリーで構成された「LMHC」に日本から唯一参加するなど、世界的にも高い評価を得てきました。
鑑定書の記載項目
鑑定書にはダイヤモンドを評価した様々な項目が記されています。発行した鑑定機関により細かな違いはあるものの、国際基準「4C」とグレーディングシステムを基に評価するため、記載項目は概ね統一されています。具体的な項目と評価内容を紹介します。
■SHAPE & CUT(形とカット)
シェイプ(外形)と、ファセット(研磨面)の配列が記載されています。評価基準を唯一持つ形が「ラウンドブリリアントカット」のみであるため、鑑定書ではほとんどがラウンドブリリアントカットになります。
■MEASUREMENT(計測サイズ)
ダイヤモンド外形のサイズが記載されています。専門の装置により、ガードル直径の最小値と最大値、テーブル(上部一番大きなカット面)かたキューレット(下部の円錐先端)までの深さを計測し表記します。各カラットには必要寸法が設定されており、評価の対象になります。
■CARAT WEIGHT(カラット・重量)
「4C」の中でも一番耳馴染みのあるカラットが記載されています。カラットは大きさではなく重さを表します。単位は「ct」で表記され、鑑定書により小数点以下の表記は異なります。1カラット(1ct)は0.2gです。1カラットの1000分の1まで計測し表記されます。
■COLOR GRADE(カラー評価・グレード)
カラーのグレードをD~Zまでの23段階で評価し、記載されます。無色透明を最高グレードのDランクとし、色の濃くなるほどZランクに近づきます。鑑定にはマスターストーンと呼ばれる検査用のダイヤモンドを使い、色の濃さを判定します。
23段階グレードに当てはまらないダイヤモンドは「ファンシーカラー」と判定され、別の表記がされます。
■CLARITY GRADE(透明度評価・グレード)
透明度を評価した項目です。内部にあるインクルージョン(内包物)と、表面に現れるブレミッシュ(疵やくぼみなど)を11段階で評価し、記載されます。鑑定は専門家が10倍に拡大し、インクルージョンやブレミッシュの大きさや数、位置や色などを検査、評価します。
■CUT GRADE(カット評価・グレード)
カットの総合評価を5段階でグレーディングし、記載されます。グレードは上から、Excellent、VeryGood、Good、Fair、Poorとなっています。鑑定はカットの正確さや形状の全体的なバランスを計測するプロポーションと、シンメトリー(対称性)・ポリッシュ(表面の研磨)の仕上げ状態から評価されます。
■PROPORTION(プロポーション)
測定器で計測されたファセットのサイズや角度、配置や比率などを、真横から見た図に当てはめ表記されます。テーブルのサイズや、クラウン(上部台形部分)の角度、パビリオンの深さなど、GIAの基準により細かく知ることができます。
■PLOT(プロット)
インクルージョンの位置や特徴などを図で示したものです。インクルージョンは、クラリティ評価では内包物の認められない透明度が高いものが好ましいとされますが、世界に一つだけの個性と受け取ることもできます。
その他、レポート番号や、上記以外に見られる個別の特徴などを記載した項目もありますが、GIAの定めた国際評価基準と同様に、鑑定書の項目も概ね同じ内容となっています。
まとめ
ダイヤモンドの鑑定書、ダイヤモンドグレーディングレポートについて紹介しました。ダイヤモンドは、統一された評価システムを世界で使用し、ぶれのない適正価格で取り引きをしています。評価は信頼のできる機関により鑑定され、鑑定書という文書で私たちにその価値を伝えてくれます。
婚約指輪など、一生の思い出となるダイヤモンドを選ぶ際には、鑑定書の有無やその内容など、一つの参考にしてみてください。